妻の判断を優先して
掲載日:2016年2月3日
出会いの春と言われる様に、陽気が春めいてくるとご相談が多くなります。
女性の結婚で常に考えさせられるのは、結婚後の同居問題です。
誰が考えても、同居家族が無い方が良いに決まっていますが、そうは言っていられませんので悩むのです。
私が夫の両親と同居を決めたのは、22年前です。
長男の夫と結婚するとき、当然同居になるだろうと思っていたら、夫の両親から意外な事を言われました。
「最初は県営住宅でも借りて、経済観念を学こと」
「ラッキー!」と、この時は思いましたが、なかなか独身の時の様に、好き勝手にお金を使うことは出来ないし、
子供が産まれ、私が会社を辞めてからは、家計簿をつけて毎月夫の給料日を心待ちにする日々でした。
毎日、新聞広告をチェックして、紙おむつや日用品を買出しに行ったものです。
しかし二人目を出産した頃から、車はセダンよりワンボックスが欲しいと思い、狭い県営住宅も嫌になり始めました。
さらに、上の子が幼稚園に行く様になったら、一軒家から送り迎えしたいと言う思いが強くなり、夫に同居の
相談をしました。
「覚悟を出来ているの?いったん同居したら出るのは難しいよ」と釘を刺されましたが、結婚して4年の間に単身赴任で
管理職の義父は仕事一筋、家事を完璧にこなす義母を見てきたので、尊敬の念もありましたし「子供は親が育てる
もの」と、夫の両親の子供たちへの接し方から、同居を決めました。
私たち夫婦からお願いして、2世帯住宅に建て替えての同居でしたが、夫の両親に最初に言われたことは、
「家庭は一番小さな社会だから、家族と言ってもだらしない生活は許しません。年長者を敬う気持ちと礼儀は
きちんとしなさい」
あれから22年、子供たちが社会人になって改めて思ったのは、子供たちが仕事に責任を持って働き、上司や同僚と
上手くやっているのは、同居のお陰だと思うのです。
礼儀や躾は口で教えるよりも、私たち夫婦の義父や義母への接し方や話し方から学んだものです。
家族は小さな社会 と言われた意味が分かりました。
でも、決して厳しいばかりでなく、冬至にはお風呂に柚子が浮かんでいたり、いつも食事は別なのに、春には竹の子
といった様に、四季折々の旬な食材で、義母が手料理をご馳走してくれます。
これも私の感性にはないことでしたので、有難いと思っていました。
まるで同居の勧めみたいになってしまいましたが、もちろん面倒な事や嫌な事だってあります。
ただ同居すると人との考え方や価値観が合えば、メリットも沢山あると思うのです。
しかし同居するに当たり一番大事な事は、同居の判断は妻が妻が決めると言う事です。
男性は自分の親だから、同居するのは簡単だと考えていたり、家があるのに賃貸料を払うのは勿体無いといいますが、
同居が原因で離婚する事になったとしたら、お金には代えられない問題です。
女性が同居に悩んだら「一番大事なのは君だから、君が決めていいんだよ」と言ってあげてください。
平成27年3月5日 長野市民新聞掲載