現実を知り向き合う
掲載日:2019年1月3日
サッカーワールドカップが盛り上がっています。
選手たちは、勝敗に左右されて大変ですが、全力で頑張っている姿を
見ていると、勝っても負けても感動と元気をもらえます。
普段からテレビはつけていますが、決まったドラマを見たり映画が好き
と言う事でもないので、何かをしながら見ている「ながら見」なんです。
ある夜、NHKの番組をながら見していると「ミッシングワーカー」と言う
言葉を始めて聞き、興味を持ったので珍しく真剣にみていたのですが、
最後はとても切ない気持ちになりました。
ミッシングワーカーって知っていますか?
独身で仕事をしていない、求職活動もしていない40代~50代のことで、
社会問題になっているそうです。
40代~50代の失業者は全国に72万人いて、ミッシングワーカーはそれ
よりも遥かに多い103万人もいるそうです。
この103万人を救おうと、地方自治体が動いているそうです。
なぜミッシングワーカーになってしまったのか?
それは仕事を辞めて親の介護から始まります。
介護が長くなると貯金も無くなり、親の年金だけでは生活も苦しくなります。
施設に入居するには、月20万円は必要ですが、お金はあっても親が
入居を拒む場合も多い様です。
そして親の看取り、介護から解放されたとしても、生きる希望がなくなり
仕事をする気力もなくなってしまい、一人孤独に生きているのです。
番組では、「介護と独身」について考えなければならないのではないか
と提起していました。
国難と言われている少子化問題を取材しているうちに、ミッシングワーカー
の存在を知り、5年間取材を続けていたそうです。
40代~50代の独身者は650万人と、独身者の中でも際立って多いの
ですが、30代で結婚しなければ、この先も中高年の独身者はどんどん
増えていくのです。
番組を見て切なくなったのは、一度ミッシングワーカーになってしまうと
自分一人では生活を立て直す事が大変難しい事、そして生きる糧とは
必要とされている事、誰かの為に生きると言う事なんだと思いました。
恐ろしく感じたのは、決して他人事ではない事です。
親として、子供の人生を奪ってしまう事だけはしたくないと思いますし、
ご近所でも50代の独身者は珍しくありません。
今は想像できないでしょうが、生涯独身でいる事は多くのリスクがあると
覚悟して、せめてミッシングワーカーにならない様に、個々で対策する
事が求められると思いました。
私たち親も決して他人事と思わないで考えて、子供の結婚も子供の意思
に任せきりにしないで、20代から真剣に向き合う事が必要だと思います。
とても暗い気持ちになった番組ですが、現実を知る事、そしてそれを伝える
事が大切だと思いました。
平成30年7月5日 長野市民新聞掲載